I Shall Return: Shallの用法
それは英語のShallの用法です。
文法書や日本人の書いた辞典には、いろいろと説明が書いてありますが、それはあくまで現代英語ということですので、英語の本質には必ずしも近くないかもしれません。まあ、英語は通じればいい、使えればいいので、そういう趣きの方にはどうでもいい話ではありますが・・・。少なくともアメリカ人は英文学でも専攻してなければ気にしないでしょうか。
英語による微妙な情動や情緒や感覚の動きは助動詞(Auxiliary Verb)によって表現されると言えます。助動詞を仮想法で変形させていくことで、より繊細な感覚の違いが表現できます。
さて、助動詞の一つのShallです。未来を表現するとされていますけど、どうでしょうか。じゃWillとの違いはなんでしょうか。なお、英語には未来形というのは存在しないので、助動詞で表現せざるを得ません。
Shallはもともとは「神命を負う」という感覚の概念です。つまり、神の命に基づいて、またはそれを請け負って何かをすることになるという感覚です。 ですので実は未来に限定しているわけではありません。神という概念は話者によって当然異なります。英語ですので、おそらくキリスト教的な神でしょうかね。それは話者の内面に属する話なので一般化はできません。
ですから、マッカーサーがI shall return.と苦々しく言ったのは、「(嫌なんだが)神の命によって、自分はここに戻らざるを得ないだろう」という意味合いであろうといえます。
運命的な表現になるというわけです、そこに人間の側の苦悩も表現されえます。
なお、神命に対する人間の側の意志はwillによって表現されます。
蛇足ですが、もっとも強い命令表現は、命令形でもhave to/mustなどでもなく現在形です、たとえば、
You come here. です。
なぜなら、現在形というのは、現在ではなくて、絶対事実を表現する形でもあるからです。そこには時間という概念は存在していません。絶対事実としてそうなっているわけですから、最強の表現となります。
*ちなみに学生の皆さんは試験では、「まじめに」教えられたとおりの回答をしておくことをお勧めします。教師も所詮が開発途上の教師であり(つまり英語のマスターでもない)、ネイティブだからといって、自国語に通暁しているわけでは全くありません。ネイティブが提供できるのは、その人のアクセントの英語の発音と会話ぐらいです。ネイティブだからといって文学的な言葉の彩(あや)がわかるわけでもありません。繊細な言語感覚は限られていますので、おそらく。