仙人、仙道、道教、仙術、道家 タオ Tao/Dao
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あるときに、李小二というネズミ使い(キミちゃんみたいなもんだ、おじゃるの)がいた。
その日暮しの収入だ、あまり儲からない。
で、とある日、いつものルーティンを終えると、急に雲行きがあ怪しい。
これはあかんって、ってことで雨宿り先を探しに行くと、
古ぼけた山神廟なる廟があったので、ちょいと失礼で中に入ったという、「すんまへん」。
しばらくすると、廟の薄暗さにもなれると、おやおや、先客がいたようだ。
みた感じ、そうだな、野宿者の老人のようだ、えらくみすぼらしい、風呂もはいってなさそうだ、髪もぼさぼさだ。で背中を向けて寝転がっているのだ。
沈黙
そのうち、この李、同じ貧乏生活者なんだから、ちょっと話かけてみよう、と思い立つ。
「よう、おじいさん、どうしたんだい? 身寄りもなしかい、そりゃ大変だー。私も実は
・・・・・・」
と身の上や商売では儲からないことなどを、滔々と話し出した。
かの老人は、背中を向けたまま、ふ~ん、とも、へ~とも言わず、まあなんとなく聞いてそうだぐらいの様子だ。
ひとしきり李がしゃべった後。
老人曰く、
「そう、じゃお主は、お金がそんなに欲しいというわけか、とどのつまりは?」と。
李は、ちょっと恥ずかしげに「まあ、そうでもないんですけど、あればあれで・・・」
「ふぉふぉふぉ、よろしい。じゃこの周りに散らばっている落ち葉を金貨に変えて進ぜよう」と言うや否や、枯葉はあれ、金貨に変貌、金塊だ。
腰を抜かす李。ネズミも大喜びだ。
老人は立ち上がると、「いや、何、仙界は苦労ってことがなくて退屈なので、自分はたまに下界に降りてきて、人間の不自由さをエンジョイしているんだよ。この不自由さがなんとも言えずよいのだよ、はっはっはっー」。でドロン。
唖然と虚空を見つめる李。
しばらくして、「あー、あの老人は仙人だったか、これは惜しいことをした、道を教えてもらうんだった!」
李は仙人への願望があったのだ、もともと。
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さて、いかがでしたか。
臨死体験とか体外離脱とかをリアルに体験した人はよくご存知でしょうけど、この肉体に戻るときの肉体の感覚は、数トンぐらいの鉄板板に押しつぶされるように重い甲冑です。あー、このきわめて重い肉体に閉じ込められるのか、そう思ったはずです。
しかし、それは仙人にすれば、一つの楽しみでもあります。
えっ?、勿論、あなたは仙人じゃないかもしれませんけど、いずれは仙人になるかもしれません。その時には、この話を思い出してください、否、この話を思い出すでしょう、懐かしく。
では、また何処で。