「京都ぎらい」は嫌いにあらずか
著者の井上氏は京都府出身(洛外)、京大卒で国際日本文化研究センター教授で宇治在住とのことですが、洛中と洛外の深い溝、京都の寺院の志納金、僧侶と芸子などに独特な切り口で踏みこんでます。
この本は洛外の人による洛中という京都に対する「愛憎」という一見感情的だが実はそうでもない計算された口上による京都案内という感じでしょうか。京都府外の他県の人にとっては、「京都ゴシップ」をのぞき見する感じで読めますが、独特な歴史感覚を持ちだしてくるので、「さもありなん」という感じです。
武家文化から町人文化への変遷の痕跡がこの本の中でよく見えるのは、著者の手腕でしょうか。
京都の花柳界を今後支えていくのは外国人ではないかとも。