Dispelling Neuromyths 花盛り「脳本」ブームの真贋!?
文芸春秋(2009年12月号)にジャーナリストの森 健氏が「何でも脳で解決できる」に科学的根拠はあるのか?ということで小論を投稿しています。
おそらく結論的には苫米地氏が述べているそうですが、脳本もふくめて「ビジネス啓発という書籍は実用的に役に立ってなんぼのもの。だからそこはビジネスとして確信犯で書いている」というのが作者たちの本音なんでしょう。だから大半は「俗説」であったとしても、それはちょうど「民間療法」と同じで、それを実践して効果があるならそれでいいじゃんね~というわけなんでしょう。
ですので、「科学的根拠」があるかどうかというよりは、本人の自己満足的な「効果」があるかどうかというところが読者側の意図といったところかと。
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具体的に森氏の小論を少し手直して引用してみると以下の通りです。
例えば、神経神話とされる俗説には、「三歳児神話(三歳までに脳の基本的能力が決まる)、「脳は10%しか使用されていない」、「右脳人間、左脳人間」、「男脳、女脳」、「睡眠学習」、「脳の記憶力増強」などがあるそうですが、確かに馴染みの「発想」ではありますが。
で、「右脳人間、左脳人間」の神話の起源は、1970年に発表された米スタンフォード大学の心理学者の仮説によるものだそうです。つまりあくまでも仮説ですが、この学者は左脳と右脳の機能の差異に着目して、論理に強いタイプを「西洋人系」、直感的なタイプを「東洋人系」として述べたが、のちに広く左脳系、右脳系という比喩となって広まったとか。
また「10%」神経神話、アインシュタイン(Einstein)がインタビューにそう答えたというのが起源だそうです、しかし現在では「明確に誤り」だとか。
そして「睡眠学習」の俗説の起源は、英文学者のオルダス・ハックスリーの「すばらしい新世界」の描写にあるとか。でロシアで研究が行われたそうですが、睡眠学習の効果を科学的に支持する結果はなかったとか。
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「大半が俗説に依拠する」脳本だけでなく、超能力本、スピリチャル本の類は脳本よりも科学的根拠が「ない」ために、もっと怪しくなってしまうのは仕方ないところでしょう。
ポイントは、理屈や自分の「体験」がどんなようなものであれば、こういうものは「自己満足」なのだということで、他人に強制する類のものでは全然ないというところでしょう。で、こういう類のものが書籍化されるときには、当然、「確信犯」として書き手は書いているということを念頭に置いておくべきだということでしょうね。
つまり、科学者だろうがグルだろうが聖者だろが、誰かが書いていることを鵜呑みにするなということと、自分の体験は自己満足だということと、それを他人に強制するのは筋違いだということですね。